日曜日には雨も止み、朝のウォームアップ走行を行います。路面は完全に濡れていて、決勝も似た様な状況が予想された為、中間のコンディションに合わせたセットアップを施していきました。
迎えた午後12:00曇り空の下、決勝がスタート。まだ路面の半分はウエットコンディションの中、スリックタイヤを履いて野田選手がスタートします。スタートラインではギリギリまで#16との差を詰め、2台並びながら1コーナーへ。アウトから進入した野田選手に対し、イン側の#16がスピンしてコースアウト。接触は無かった様で、その後は2位以下を突き放していきます。#16 がコースに復帰した時点で2周の差が付いており、その後も順調に周回を重ねていきます。
1時間を経過し、予定通り野田選手がピットイン。給油、タイヤ交換、ドライバーを僕に交代してピットアウト。路面も完全にドライとなり、1分45秒台のペースでコンスタントに周回を重ねていきます。途中#16がガス欠を起こした為、2位との差をさらに3周に広げて再び野田選手にバトンタッチします。
レースも折り返し地点を過ぎると、強い日差しが差し込み、朝とは一転して真夏の様なコンディションに変わっていきます。3時間を経過したところで、再び僕へバトンタッチ。2位との差は変わらないものの、今年から10L小さくなった燃料タンクの為エンジニアから燃費を稼ぐ走行を指示され、1分46〜47秒台のペースで周回を重ねていきます。スティントの後半に入ると、#16がコースオフしてガレージに入った為、大事に行くよう指示が出ます。 4時間を経過して野田選手に交代した直後、コース上に#16が止まり、そのままリタイヤとなります。直接のライバルは居なくなりましたが、ワンミスでレースを失ってしまうのが耐久レースの怖いところ。実際去年のもてぎでは、ゴールまで30分のところでエンジンブローしてレースを終えた経験もあるので、最後まで集中力を切らさないよう注意して最後のスティントを迎えます。
5時間を経過した頃、それまでと同じ様に給油、タイヤ交換、ドライバー交代を済ませてスタートボタンを押しますが、突然、車が全く無反応になってしまいます。メカニックがすぐに駆け寄り、急いで原因の追求にあたりますが、見た目では分からない電気系統である為、一つずつ部品をチェックする必要があります。僕自身はメカニックの冷静かつ迅速な作業を見守りながら、再スタートして直ぐに最高のパフォーマンスが出せる様、集中力を切らさない事だけに意識を傾けます。作業が15分に差し掛かった頃、メカニックの懸命な作業のおかげでエンジンに火が入り、6時間のゴールを目指して周回を重ねていきます。
陽が傾きだした午後6時、トップでチェッカーフラッグを振られ開幕3連勝、シリーズチャンピオンを獲得する事が出来ました。
今年初めてルマン・プロトカーをドライブするチャンスを頂き、この車を乗りこなす事だけに一生懸命費やしてきましたが、この様な最高の形でチャンピオンになれた事を非常に嬉しく思います。またチーム体制など、様々な要素が全て揃なくては勝利することが出来ない、耐久レースの難しさも勉強することが出来ました。
今年、僕が最高の体制でザイテックをドライブする事に尽力してくれた関係者の皆さんに感謝すると共に、残されたレースもこれ以上のパフォーマンスを発揮出来る様、頑張りたいと思います。
山崎 信介
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